2016年、大卒就職活動の選考開始が4月からとなります。
3月情報解禁ということで3月に入った先日街を歩いたところ、多くの就活生を見かけました。
私も大学を卒業後、新卒で入った会社を1年半程で退職、転職し、半年程経ちました。
会社が違うとこうも違うのか、と多く考えることがありましたので、備忘録がてら前職場と現職場の比較や振り返りをしようと思います。
現在転職を迷っていらっしゃる方、転職活動中の方、新卒の就職活動中の学生さんのお時間潰しにでもなれば幸いです。
ブラック企業での経験談とメリットデメリット
ホワイト企業での経験談とメリットデメリット
転職してわかったこと
まとめ
前職:中小IT企業(所謂ブラック)
HP制作をメインとして行っていた会社。
WEBデザイナーの肩書きに憧れて入社しましたが、営業からお茶出し、請求書の発行まで幅広く行っていました。
「何でもやってもらうよ!」というのは入社前から事前に伝えられていたのでそこまで不満ではありませんでしたが、会社との価値観がズレることにより起こるストレスに耐え切れなくてですね……!
会社の価値観はやはり世間一般とズレていたらしく、転職でエージェントを利用した際に「前にお勤めの会社さんのサイト拝見しましたけど、良く今までやってこれましたね……」とドン引きされました。
仕事に関しても、思い返すと入社前のインターンから異常でした。
関西の大学に通っていたのですが、テレアポのために週6で東京にいましたから!週1はゼミのために夜行バスで関西に帰っていました。どちらが本拠地か分かりませんね。私も分からなかったです。
労働環境
勤務時間
定時は10時〜19時。ですが、定時に帰れることがありません。
デザイナー業務がメインだった頃は、パソコンの電源を落とすのが23時過ぎが常。23時でも早いくらいです。
残業代?みなしで30時間ですって!
余裕で2倍は残業しますし、超えた分は当然のように支払われません。ちなみに、タイムカードの機械は倉庫に眠っており、私が在職していた頃は一度も稼働しませんでした。
酷い時には一週間でみなし時間超えたこともあります。死んでしまう。
休日休暇
土日祝と夏休み、年末年始。
お休みに関しては世間一般の会社のように頂けていたと思います。
ただ、一部の社員は半強制的なボランティアで土日出勤していたようですけれども。
入社時は頑張って土日の空いている時間に会社で作業をしましたが、休日出勤している人全員分のお昼ご飯を作らされるのが嫌で、徐々に土日出勤からフェードアウトしました(笑)
賞与
ほぼ無し。
1年目冬ボーナスは手渡しで1万円。
2年目夏ボーナスは社長のお気に入りから外れていたためか貰えませんでした。
お気に入り制が取り入れられていることに改めて社会の闇を感じました。
メリット
色々な経験ができる
中小は大企業に勤めるよりも様々な仕事を任せてもらえる気がします。
WEBデザイナーとはいうものの、入社すぐは営業を行っており、お客様への提案の仕方や資料の作成等を学びました。
また、外部に向けてのイベントも行っているような会社だったので、普通に会社員をしてたら多分知り合えなかっただろうな、という方ともお知り合いになれました。今でもフェイスブックで繋がっていたり、実際にお会いしに行っています。
入社半年過ぎに部署のサブリーダーを任され、部署内の制作状況管理を行いました。スピード出世なんてまさにブラック企業あるあるですよね。
部署の上司はお客様受けがとても良い営業向きの方でしたが、難点はタスク管理が苦手なうっかりさんで……。
自分の制作作業に加え、部下の私が彼のTODOリスト(やることリスト)に書き込みや確認と煽りをしていたときには自分の仕事って何だろうと考えましたよね。思い返すと完全に秘書です。
技術が身につく
新卒、未経験で入社しましたが、なんとか提案から納品まで一貫してやっていける程度には技術が身に付きました。
一時期は「自分で営業し、取ってきた案件を納品まで行う」というスタイルを採用していたために、営業で制作案件を取ってくれば取ってくるほど自らの首を絞めました。
納期が3つくらい被ったときには逆にテンションが高くなってしまって深夜2時に友人に電話をしながら制作してました。友人、巻き込んでごめん。
そんな感じに業務をこなしておりましたので、嫌でも技術は身に付きます。
能力を得るという意味ではとても自分の力になりました。
しかし、退職後一定期間内は同業他社に勤めないとする書類にうっかりサインしてしまったので、IT企業には勤められませんけれども!
転職活動ではこっそりデザイナー募集の企業も探しましたが、やはり実務経験年数が問われて書類で落ちることも多々ありました。
培った技術をこのまま風化させてしまうのが勿体ないのでこんなサイトを立ち上げた次第です。その内フリーランスしたいです。
とても自由な風土
IT企業は自由なところが多いんですよね。
結果第一主義なので、「結果が残せれば後は何やってもいいよ」という感じです。
クリエイターだと電話を受けると集中力が切れてしまうので、ヘッドホンで音楽を聴いてる人が多かったです。
私も先輩もずっとニコニコ動画の作業用BGMをひたすらリピートしながら仕事してました。
そんな職場ですので勿論制服もなければスーツでいる人も稀だったので(男性はスーツでしたが女性は私服)、好きな格好が出来ました。やりませんでしたけどきっとコスプレも許容範囲内です。
大学生の頃は「OLになったらオフィスカジュアルかぁ!」と考えてましたが、結局オフィスカジュアルとは何なのかわからないままでした。
逆“隣の芝生は青い”効果
辞める直前は本当にその会社が嫌いになっていたので、次は何処に行ってもある程度は耐えられる自信がありました。
「前職場よりはマシだろう」と。
実際、転職してみて少し気になるところがあっても「前よりはマシ」と我慢できています。
転職して後悔していないのは私だけではありません。
ブラック企業在職中、辞めて新しい職場で活躍している先輩と何度かご飯をご一緒したことがあるのですが、会う先輩たち皆「後悔は一切ないよ!早く辞めようよ!」と仰っていました。
常に顔色が悪かったイメージしかない先輩は、とても血色が良く健康的になってました。
デメリット
身体を壊す
身体を壊すのと精神を病みます。
私が入ってから一番お世話になった先輩は精神をやられ休職後、退職しました。
私も一時期は大好きな舞台にも興味がなくなり、不眠気味。目が死んでると言われました。
今では割と笑い話に出来ますが、当時は大分追い詰められていたんですよね。
別で書いていた当時のブログをたまに読み返したりすると、「空青い」的なことや人生の儚さ等が綴られていて相当な精神状態の不安定さが読み取れます。
会社の常識と自分の常識が噛み合ないと相当なストレス
例えば二次創作を引用しないだとか自作発言をしないのが当たり前だと思って今まで生きてきましたが、それを当たり前にするんですよね。
あとはke○genを使っていたりだとか。明記はできないので察してください。
社長のセンスがWEB普及当時で止まっていることもストレスでした。原色たっぷりのバナーを自作しだしたときにはどうしようかと思いました。
「何でそんな会社入ったんだ」と思うじゃないですか。
私、これでも会社の理念には共感して入社したんですよ。でも私の捉え方が悪かったのか、掲げている理念と取っている行動があまりにもかけ離れているように思いまして。
例えば『より豊かな生活を』を理念に掲げているなら、私は「この会社に関わる人々の『より豊かな生活を』」という解釈で入社しましたが、実際に入って感じたのは「社長の『より豊かな生活を』」というギャップ。
社長は楽しいでしょうけど……自社を優先しすぎてお金を頂いているクライアントを蔑ろにしている印象を受けて……。
たまたまとった入電が私が営業に行って契約していただいたお客様で、他の方に引継ぎをしたはずなのに中々スケジュール通りに進んでいないクレームだったときに1時間くらい泣きながら応対しました。
個人的に衝撃だったことの一つに、IT業界の割にIT関係のコンプライアンスが破綻していたこと。
トップが「言われなきゃいい、バレなければいい」精神だったので出典不明の画像を使うのは当たり前、お客様関係ではGoogleで顧客情報管理なんて震えます……しかもパスとIDが単純すぎて特定されてしまうレベル……。
他のIT企業がどんなものかこの企業しか知らないので偉そうなことは声を大にして言えませんが、少なくとも直射日光が当たる場所にサーバを置くのは頭がおかしいと思います!
現職:多少大企業の経理
中小企業の定義に当てはまらないものの、「大企業!」と言えるほどではないのでもにょもにょした表現です。
業務としては、事業所から上がってくる売上のチェックと入力をしています。
アナログ日報なのでデータスキャン等の兼ね合いもあるため、毎日二日前の日報を処理するサイクルが出来上がっています。つまり、一日の作業ノルマがある=終わりが見える。
所属する部署はお客様と関わる機会がなく、あくまで従業員との関わりのみ。
なので外部からの電話や応対がなく、内部間とのやり取りだけです。
労働環境
勤務時間
定時9時〜18時。
月末はバタバタして若干の残業はありますが、それ以外はほぼ定時で帰れます。
残業代は若干条件があるものの、出ます。
休日休暇
週休2日の不定休。
土日休みではないものの、世間の土日祝日数分の休みがあります。
希望休は3日分提出可。世間一般のサービス業ではないので土日でも特に気兼ねなく希望休が出せます。
賞与
あるらしいです。
断言出来ないのは私の勤務年数が短いためにまだ頂けていないから。
入社して1年ほどの先輩は頂いているようでした。
ちなみに、この職場を見つけた求人サイトの募集要項には4ヶ月分と記載がありました。4ヶ月分ありますように……!
メリット
平日にプライベートの予定が組める
平日お休みには賛否両論ありますが、私にはメリット部分が大きいです。
平日休みですと街にお買い物に行ってもそこまで混んでないですし、役所や銀行にもとても行き易くて!
あとは舞台ですね!
土日だとチケットが取れにくかったりしますけれども、平日だと土日よりも取れ易いです。
また、舞台初日って結構平日が多いんですよね……!初日に行くのが好きなので、初日も余裕でいけてしまうのが嬉しいです。
私のように土日のイベントにはあまり行かない、加えて友人が少なければ平日休みは最高です。
真人間に近付ける
前職では帰宅時間が日付変更が常でしたので、ほぼ自炊はしませんでした。
ご飯作る暇があったら寝ていたい。
今ではほぼ定時に帰宅できるので、晩御飯を作ったり、職場に持っていくお弁当のおかずの冷凍ストックを作ったりしています。
この点に関しては新しい職場になったから、というよりかは一ヶ月の休職期間があったのが大きいかもしれません。
転職活動期間でもある空白の一ヶ月は収入ゼロ、まさに「お金はないけど時間はある」状態。
暇潰しがてらに上京時から散乱していた部屋もそこそこ綺麗に片付け、惣菜ではなく食材を買って自炊をし、使わないのに集めてしまったアニメグッズ等を売りました。
その甲斐あってか、大分「一人暮らししています」と言っても許される程度には生活力が上がったと思います。
生活がまともになったキッカケは休職期間ありきですが、その生活が持続できているのは今の定時帰宅スタイルがあるからですね。
デメリット
スキルアップが望めない
今の業務上、培われる能力はテンキーを打つのが早くなることかな、と。
他に必要な技術や知識ってあまりないんですよね。
なので安定はしているものの、このままで10年後もし転職するとなったら……と考えると今の内に空いている時間で資格取得をしておくべきだと考えています。
社内の人間関係が複雑
部署やら支店やらあるので、知らない方も沢山います。
同じ課、よく関わる課の人は把握しておりますが、それ以外の課の人は顔は知っていても名前を知らない人が多くいます。
私の部署は上がってくる日報処理の業務なので、直接お会いしたことのない現場の方の日報に駄目出しするわけですよ。
「この言い方で気を悪くしないかな……」と気を遣います。現場の方が頑張ってくれているからこそ私がお給料を頂けるわけですし!
しかし何年もいる先輩は毎回同じ人に駄目出しの必要があったりもするので、「何度も言ってるじゃん!」とお怒りになることもしばしば。
お互いに名前や仕事の出来具合しか知らないがために、思いやりが欠けてしまう部分もあります。
プライベートやその人本来の人間性を知らないので、仕方ないのかもしれません。
私の部署側だけでなく、駄目出しされる側も「現場を知らないのに偉そうに!」と思っていそうで。
そう考えると「アットホームな会社です」とは決して言えません。
机をつきあわせて仕事をする同じ部署の人に関して言えば、働くことにネガティヴな発言をする人が少し苦手です。
「帰りたい」「昼寝しませんか?」など。
こんなに恵まれた職場で甘えるな!と言いたいです。先輩相手なので言えませんけれども!
沢山の人が働いているからこそ、仕事に対する意識も様々だなぁと改めて感じる日々です。
転職してわかったこと
社長はどこも似たようなもの
転職する際に直属の上司に「社長が苦手です」と申し出たところ、「社長なんてどこもあんな感じだよ(笑)」とアドバイスをいただいたこと、今では身に染みて実感しております。
ただ、前職場は社長との距離が近すぎるのが問題でした。
同じ空間にいてヘッドホンの音を漏らしながら何かの作業をしている……定時前には「○○くん、おなかすいたー」と子供のようなことを言っている……。悉く私のイライラするポイントを押さえてくる辺り、ある意味すごいなと今でも思います。笑
対して、現職場では役職についている方が直接社長とお話されて、それを現場に伝えてくれます。
社長が私の働いている部屋にたまにふらっと現れて小さなことで怒鳴っていくことはありますが、嵐のような人なのでいないときにはとても穏やかです。
社長がまともかどうかでなく、社長と距離があるかどうかで働き心地に天と地ほどの差があることを学びました。
仕事内容はさして重要でなく、最重要は価値観
「一般OLといえば事務!」と勝手な想像をしていたので事務職を探して転職しましたが、思いの外つまらない仕事でした。
前職場のように同じことは一切なく常に新しいことをする環境とはまるで違います。
同じことの繰り返しです。本当に面白みがないです。
しかし面白みがあるか否かというのは私の中でそこまで大きな問題ではないな、と思っています。
前職場では中途半端な仕事をしてお客様にご迷惑をかけていると感じることがしばしばあり、「この会社の仕事は誰かを幸せにしているのか?」と思い悩むことがありました。
今の仕事は私の部署は直接お客様に関わらないものの、会社としてはお客様の目的を果たす仕事が出来ていると感じます。
ずさんだったコンプライアンスも今では感動するくらいにしっかりと管理されています。
私の当たり前を当たり前にしていただけている会社なので、働かせていただけることに感謝しっぱなしです。
まとめ
新卒で中小企業に勤めることは、私にとって自己のスキルアップに繋がりました。
しかし、得るものよりも失うものが多かったです。
もし前職場への入社を、見知らぬ方が「私は大丈夫!仕事を沢山任せてもらって成長したい!」と言うなら、「キツいこともあるけど頑張って」と返すでしょう。
しかし、知人が同じことを言うなら全力で止めます。好きな人には極力関わって欲しくない会社の認識がついてしまっていてですね……。
私が入社時の社員数と今の社員数を比べ、3分の1まで減っているのは結構な異常事態だと思うんですよね!
何をブラック企業とするのかは人それぞれですし、「ここまでなら耐えられる!許せる!」というラインも人それぞれです。前の私より酷い環境で頑張っていらっしゃる方は山ほどいらっしゃることも承知の上です。
甘えだといわれればそれまでで、私は転職の道を選びました。
大学在学中の就職活動は中々決まらずに落胆しながら活動していた思い出が強いですが、転職活動は運良く2週間のみで済みました。
周囲が心配やドン引くレベルの企業に嫌々しているのでしたら辞めることも一つの選択肢です。
次の職場が決まってから会社を辞めろとも言われますが、毎日23時過ぎの職場で転職活動は無理でした。辞めてからの活動でも案外何とかなります。
(蛇足ですが、その時間でも面接OKの中小IT企業事務職募集がありました。どう考えても同じような道を辿る未来しか見えなかったのでそっとブラウザを閉じました。)
新卒で入社する会社がこれからの人生の全てではありません。
「新卒は入社3年は最初の会社で頑張れ」と良く聞きますが、3年もの間勤めるのが難しい会社もあります。
3年足らずで転職を決断したのは、自らが追い込まれたこと、そして家族の存在でした。
私の場合、一番心配をかけてしまったのはやはり離れて暮らす家族なので、自分のことを想ってくれる人が心配しない環境で働けることが転職活動の一つの軸にもなりました。
(新幹線で帰って駅まで迎えにきてくれた親の顔を見た瞬間に泣き出したことだとか、「薬を飲まないで生活して欲しい」って痛切な表情で告げられたのは思い返しても中々心が痛いです。)
私は、不幸せ以外は全部幸せだと思っています。普通の毎日が幸せ。何でもない日も幸せ。
自らの人生なんですから、毎日が幸せだと思えるような職場で働けることが一番です。
現在転職を迷っていらっしゃる方、転職活動中の方、新卒の就職活動中の学生さん、毎日が「とても充実している!満足!」と胸を張って働けることは中々難しいと思います。
せめて、「不幸せ」だと嘆き暮らすことのない職場でお仕事できますように。
私も4月から社会人3年目に突入の人生を「幸せ」に日々過ごせるように生きますので、お互いに無理をしない程度に頑張りましょう!
長々とお付き合いくださり、有難う御座いました!