渋谷のアイアシアターで上演された、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」11月15日のソワレ公演観劇してきました。
ハイパープロジェクション演劇ハイキュー……テニミュやペダステのように、未だにちゃんと名称定まってない気がします。ハイステ?キューステ?ハイプロ?感想探すにも探しにくいので早く略称定めてくれませんか公式さん!!
以下、ネタバレありの感想レポです。
2016年ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」”烏野、復活!”感想はこちら
感想
若い役者が揃っているからこそできる舞台だな……と思いました。ダンスを始めとした運動量の多さ。すごく大変そう。
プロジェクションマッピングを駆使し、壁、床に映像を映す場面がとても多いので、全体を観れる場所からの観劇のほうが作品を楽しめそう。
客降りは下手に及川と武ちゃん、下手中央扉から岩泉。降り自体ほぼないので、あまり通路席か否かは関係ない演目です。
前方席過ぎると演出を全て楽しめないかな、と感じました。ハイステに関しては中央後方席の方が良さそうです。
プロジェクションマッピングはアイアらしい、2.5次元舞台らしいといえるくらいに昨今大活躍していますが(例:刀ミュ、ナルステ)、好き嫌いがはっきり出てきそうかなと。
漫画絵を写しだすのは想定内でしたが、事前撮影した動画に合わせて本人が喋るのは想定外でした。吹き替えかな??(※本人の顔動画に対して本人がその場にいて台詞を言っています)
新しい試みでスタイリッシュ!という点ではとてもスタイリッシュでしたが、折角生で演劇を観に来ているのでもっと映像を少なく観たかったなぁ、と。
前アナ、幕間アナでも別言語案内があるように、日本だけでなく他国のファンへ、そしてライブビューイングでの映え方や見られ方を考えて作られている印象を受けました。
舞台演出、構成として感想を一言でまとめるなら「好みが出そう」。ハマる方は本当にハマる作品構成なんだろうな……。
プロジェクションマッピングもそうですし、試合の進め方も好みが出ます。
個人的に手放しで「好き!」と言えない箇所第一位に挙げたいのは、試合後に客席を煽って拍手を求めるシーン。
うーん……拍手はしたいんですけど自主的に拍手するのと煽られて拍手するのは気持ちが違うというか……あと私が下手なので、キャストさんの指示通りリズムよく拍手を止められないw
「好みが出る」作品で私自身が消化しきれていないのは、自分が今まで見てきた舞台とは異なる印象の演出でまだ慣れていないために受け入れきれていないだけかもしれませんね。
話の流れ的に続編音駒編も考えているようでしたので、今後の変化に期待です。
原作ありきの今ハイステ感想
原作に沿った構成の話をするなら、
- 1幕雪ヶ丘VS北川第一、3対3後正式入部
- 2幕烏野VS青葉城西練習試合、VS町内会チーム
といった構成。
試合を含め、とてもあっさりしていた印象。
全体的に見れば綺麗にまとまってましたが、細かいところを見るともう少し深くやってほしかったです。
青城好きな方、そして西谷東峰が好きな方は少し物足りない気がします。
今回主人公である日向は舞台上にほぼ出ずっぱり、しかし上記キャラクターはほとんど出てきません。VS青城みたいな売り出し方でしたが、蓋を開けたらfeat青城感。
ユニフォームを身にまとったキャラクターとしてはほぼ出ませんが、役者としてはアンサンブル的というか、黒子的な役割で全身真っ白の合羽のような衣装で出てきます(以下、便宜上合羽の人と表記)。
青城メンバーで一番キャラクターとして舞台に立てたのは金田一かな……。
原作の青城内では花巻が好きなので物足りなかったです。
2.5次元舞台は、“原作をなぞるだけでなくいかにそれ以上の価値を生み出せるか”という点での原作との差別化、改編も多いですよね。
日向と影山の初試合後、負けた日向に影山が言い放つ「お前は3年間何やってたんだ!?」や、青城との練習試合で日向が影山の後頭部サーブをぶちかました後の「俺の頭にサーブ打ち込む以上に怖いことって何?」等原作でとても好きなシーンなので削られていたのが残念でした。
球の表現方法
バレーボールの球を様々な方法で表現していたのは面白かったです。
開演前にステージ上にぽつんと置かれていたバレーボール、おそらくラジコンではないでしょうか。不規則な動きをしていましたし手荒に扱っていなかったので機械だと思います。
合羽の人が棒つきのボールでボールの動きを表現したかと思えば、本物のボールでトス練習する場面もあり。
お馴染み、ボールを演技で表現するエアーボールもありました。
テニミュのボールはほぼ光だけで表しますが、テニスボールが小さいボールだからこそ出来る表現。
対してバレーボールは直径約20cm、周囲約65cmと光だけでは無理がある大きさ、どう表現するんだろうと思っておりましたが使い分けをされていたのは良かったです。
実際のボールでパスをしているシーンは見ていてテンションが上がりますね!
「観劇ではない、観戦だ」の疑問
私自身、スポーツものの2.5次元舞台は沢山あるものの、テニミュしか行ったことがありませんでした。
テニミュに慣れすぎているからこそ、試合の見せ方がとても分かりづらく感じてしまいます。ハイステは言うならば創作ダンス感が溢れ出てます(個人の感想です)。
バレーボールって6対6ですからね……最高でコートに4人を観慣れていると12人は多いですよね……。
軽率にツイッターのTLに流れてきたゲネプロレポで「これは観劇ではなく観戦だ!」みたいな煽り文句がついていてそのつもりで臨んだのも違和感を抱いてしまった要因かと思われます。
練習試合でピンチサーバーに入る及川を恐らく審判がすごく丁寧に解説していましたが、あんなコール普通しないw笛吹いて腕回すだけです!!
「観劇ではない、観戦だ」に関して言えば、テニミュの方が余程試合をしているように思いました。
観戦気分で行くと「違うこれバレー観戦じゃない」となります。少なくとも私はそうなりました。
良い意味で印象的な場面
振り返ってきたらやや批判ばかりになっていました。つまらなかったわけじゃないです!面白かったですよ!
個人的に好きなシーンや魅せ方を備忘録的に数箇所書き留めておきます。
曲
試合、日向が活躍する時に流れるテーマ曲のようなものがあるのですが、なんだかとてもハイキューらしかった!
“たーたった たーたった たたったー”ってリズムの曲です。音なら“ファーファレ ファーファレ ソソ ラー”かな……。観た方お分かりいただけますよね!?(無茶振り)
「いつ歌いだすのかな??」とドキドキしていましたが3対3の「バレーボールとは」の説明をラップ調で歌う以外は歌なしでした。そうだ、これミュージカルじゃない。演目名に横文字が多かったのでちゃんと演目名読むことを諦めてしまっていました。
トスシーン
本物のボールを使用したトス練習を見るのがとても好きです。
一番好みのトスを上げていたのは、影山役の木村達成さん。
1幕、下手で三人トスをやるシーンがあります。田中と影山と……その二人ばかり見ていたので3人目が幻のスリーマン化してる……。
田中も上手かったですが、影山のトス!安定していました!!
西谷のスライディングレシーブ
何度か中央でスライディングレシーブをする場面がありましたが、すごく滑らかなスライディングです。
日向のように絶対に顎すりはしなそうなスライディング!
ノヤっさんが好きならこのスライディングレシーブは満足の行くスライディングレシーブだと思います。
「スガぁぁぁぁぁ!もう一本!」
町内会チーム戦、東峰のスパイクがブロックされ西谷がレシーブするものの、もう1本トスを上げることを迷うスガに対して東峰がもう1本トスを呼ぶシーン。3人が3人、自分自身に責任を感じていたのを吹っ切れるこの場面、アニメでとても好きなシーンだったので涙ぐみました。
スガの葛藤からの旭さんの呼びかけがとても頼もしい……!烏野のエース復活……!
旭さんとノヤっさん、ほとんどキャラクターとして舞台に出れてなかったですけど、このシーンをちゃんとやってくれてよかった……!
気になりキャスト
アニメの話し方を研究してきている印象を受けました。
キャラ解釈が自分の中とキャストで合致している人が多かったです。だからこそ唯一縁下の解釈違いに困惑しました。
うーん……潔子さんがいないのでその役割を縁下が担うと考えると多少のキャラ違いは仕方ないんですけど、もやもやしてしまいます……。
原作で好きなキャラ上位にくい込む烏養コーチ、理想の烏養コーチに内心歓喜です!
武田先生、バレー部とのやり取りのキレがすごい……肉まんにケチャップの組み合わせは口の中が紅白発言には笑いました。恐らく一番日替わりが任される役どころなんだろうな……!
田中龍之介役塩田康平さん
すっっっっっごく田中先輩でした!!
いろんな人から事あるごとに坊主頭を撫でられているんですよね。田中愛されているなぁ!!
トスが上がったときの「いらっしゃぁい!!」、そして3対3で上半身裸になり上着を振り回すのもすごく田中らしかったです。
西谷が戻ってきたときに「ソイソイソォイ!」をする姿もテンションの高さがまさに田中。
ちょっとアホっぽい田中としては、理想の田中でした。
先輩としての頼りがいある田中先輩としても大満足。日向が緊張しているときに鼓舞する姿、すごくカッコよかったです。この先輩についていきたい……。
3対3で最初は渋りながらも澤村の「問題児を牛耳れるのは田中くらいだと思ったんだけどなぁ」に一言にみるみる気分をよくし、問題児二人(日向・影山)に「俺を先輩と呼べぇ!」とポーズをとる姿、単細胞っぷりが存分に出てました。「田中先輩!」と素直に呼ぶ日向とは違い、影山の「田中先輩(早口小声)」への絡み方がヤンキーみたいでした。好き。
原作での田中がとても好きで、塩田さん演じる田中は原作のイメージを壊さないまま、舞台ならではの少し大袈裟な表現が好みでした。
120%の魅力溢れる田中……!出番が多いしカッコいいしで幸せです……!
日向翔陽役須賀健太さん
アニメの声に慣れていたので最初の台詞は違和感でしたが、段々と「日向だ!」と観れました。
喜怒哀楽がとてもストレートに表されていて、見ていて元気になれる日向でした。
影山を馬鹿にする感じだとか、尊敬する人に対してのキラッキラにこにこした表情、緊張でお腹を痛めトイレを訴える弱々しさを見せたかと思えば、試合にはすごく真面目な表情で。
トスを上げることを怖がる影山に「居るぞ!!!」と呼びかけるシーンは日向の真っ直ぐな強さが影山を動かすのも納得がいきました。
また、中央でのアクロバットがすごく印象的です。アクロバットが印象的過ぎてどのシーンか記憶抜けてしまっているのが無念……。
西谷にレシーブを教えてもらっているシーンの少しレシーブが下手な感じがとても日向っぽかったです。
一人で喋る見せ場でも十分日向らしさがありましたが、誰かと会話をするシーンでより日向らしいかな、と。
影山とのやり取り、田中とのやり取りが特に好きです。
須賀さん自身が日向を愛してくれているんだなぁ、というのが凄く滲み出ており見ていて気持ちのいい日向でした。
及川 徹役遊馬晃祐さん
冒頭、各キャラクターがプロジェクションマッピングで原作絵を映し出しながらキャストと共に紹介されるのですが、そこでの遊馬さんがすごく及川徹でした……!ウヘペロ!!
アニメ及川をすごく意識されていたので、アニメ及川がアリならいける及川かなと……。
あとは前情報で出てたバレーボール経験者の身体能力が存分に出ていたと思います。
ピンチサーバーでジャンプサーブ披露するときのジャンプ力!!あれ素人の動きじゃない!!
ある方から「遊馬さんのジャンプ力が凄すぎて他のキャストは笑うしかなかった」みたいな話を聞いていたのですがこのジャンプサーブ見て納得しました。
合羽の人たちが円になって頭上トスをする場面が1幕最初にあったのですが、遊馬さんだけトスの滑らかさが違いました。とても好きなトス……。
演技力より、バレー経験者としての動きが目立っていたように思います。
というか演技力をずっと見れるくらいに及川徹として舞台上にいなかったんですもの……。
ここで唐突に矢巾の話をしますが、矢巾がとてもチャラくて及川の後釜でも全然問題ない雰囲気でした。でもあの矢巾も人によっては「これ矢巾ちゃんじゃない!!」となりそうな矢巾。私は全然アリでした。
まとめ
烏野メンバーは縁下に少しもやっとしてますが、それ以外は自分のキャラ解釈とほぼ合致していたのでキャラ的には気持ちよく観劇できました。
青城はキャストと自分のキャラ解釈をちゃんと比べることができるくらいに舞台上にいないんですよね……!
少ない時間なりには及川、矢巾含め、違和感は特になかったのでその点ではちゃんと楽しく観れました。
青城が烏野にリードされている際、岩泉のチームメイトにかけた「お前らのまれんなよ」がとても頼れるエースでカッコよかったです!!私未だに青城キャプテンが岩泉なのか及川なのかわからなくなります!!
あとはアイアという点と独特の演出が好き嫌いでますよね……!
アイアだから腑に落ちないのか否かは宮城遠征予定なので別劇場で確かめてくる所存です。
はっきり言えるのは、ハイステのキャラ解釈は好きです!となるとあとは演出ですよねー!
次回観劇までにはこの演出が受け入れられる心を持ちたいです……!
公演概要
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」
2015年11月14日(土)~23日(月・祝)@東京:AiiA 2.5 Theater Tokyo
2015年11月27日(金)~29日(日)@大阪:シアターBRAVA!
2015年12月5日(土)~6日(日)@宮城:多賀城市民会館 大ホール
2015年12月10日(木)~13日(日)@東京凱旋:AiiA 2.5 Theater Tokyo
スタッフ
原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
脚本:中屋敷法仁
キャスト
【烏野高校】
日向翔陽役:須賀健太
影山飛雄役:木村達成
月島 蛍役:小坂涼太郎
山口 忠役:三浦海里
田中龍之介役:塩田康平
西谷 夕役:橋本祥平
縁下 力役:川原一馬
澤村大地役:田中啓太
菅原孝支役:猪野広樹
東峰 旭役:冨森ジャスティン
【青葉城西高校】
及川 徹役:遊馬晃祐
岩泉 一役:平田雄也
金田一勇太郎役:坂本康太
国見 英役:有澤樟太郎
矢巾 秀役:和田雅成
渡 親治役:齋藤健心
花巻貴大役:金井成大
松川一静役:畠山 遼
【烏野高校顧問・コーチ】
武田一鉄役:内田 滋
烏養繋心役:林 剛史
【烏野高校OB】
嶋田 誠役:山口賢人
滝ノ上祐輔役:坂口慎之介
ストーリー
バレーボールに魅せられた少年、日向翔陽は、やっとの思いで出場した中学最初で最後の公式戦で、「コート上の王様」の異名をとる天才プレイヤー、影山飛雄に惨敗。
リベンジを誓い烏野高校バレー部の門を叩いた日向だが、
何とそこにはにっくきライバル、影山の姿が…!?ボールを落としてはいけない、持ってもいけない。
3度のボレーで攻撃へと“繋ぐ”スポーツ、バレーボール。
仲間と繋いだ先に見える景色は!?熱血青春バレーボール物語、いざ開幕!
(公式サイトより引用)
公演公式サイトはこちら